2018年3月11日日曜日

株式と債券の比率を考える―インデックス投資家は株・債券の値動きが同じになったとしても動じない―

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こんにちは。キュウキュウです。
先日、
分散投資、受難の時代 株・債券の値動き 同方向に  」という記事が日経新聞で発表され、投資ブログでも株や債券、あるいは、分散投資について話題にされるようになってきました。私も便乗して、株式と債券の比率について考えてみたいと思います。



だからなんだ

 私がすぐに思ったのは、株式と債券の値動きが同方向になったとして、「だからなんだ(よくあることだろう・・・)」ということでした。確かに株式と債券が逆の値動きをしてくれたほうが、ポートフォリオのリスクが小さくなるので、よいことなのですが、適温相場と言われていた2017年でさえ、毎日の値動きはばらばらでした・・・。おそらく長年相場に身を置いていた人なら教科書通りの値動きにならないことは経験的に知っていると思います。また、そもそも株と債券の相関は期間によっても大きく変わってきます。詳しくは、水瀬さんがすでに2009年に記事にしています。
(参考: 相関係数の誤解)

 ところで、重要なのは、株と債券が負の相関だったときと比べて、今後が株と債券が正の相関になる "受難の時代" だったとして、その事実(予想?)をもとにインデックス投資家の行動が変わるか?ということだと思うのです。いくつかの思考パターンに分けて考察してみたいと思います。いずれも、国際分散投資をするインデックス投資家を想定しています。結論からと言うと、いずれのインデックス投資家もそれぞれ合理的な考え方で資産配分をすると考えられます。



1 株式100%

 超長期的にみて株式は常に債券のパフォーマンスをアウトパフォームしてきました。
余裕資金で投資をする限り、期待リターンの最も高いアセットに集中投資することは合理的です。企業が倒産してしまったら紙くずになるリスクを受け入れて投資をする場合、投資家はどうしても預金の金利や国債の利回り以上のリターンを要求します。逆に言えば、リスクに見合ったリターンがあるべきなのです。このリスクプレミアムの考え方に基づけば、株式が常に債券をアウトパフォームしてきた歴史も容易にうなずけます。
 しかしながら、株式100%のアセットアロケーションを組む投資家は、当然ながら、ときどき資産が20%減少し、まれに50%減少してしまうことを受け入れる必要があります。このような考え方の場合、株式と債券の相関がプラスだろうがマイナスだろうが、関係ないはずです。たんたんと十分に地域分散されたインデックスファンドを粛々と買い続けます。ポートフォリオはいくつか考え方がありますが、以下のいずれかだと思われます。
 ただし、退職した後、とりくずし期に入ったときに、すでに投資済みの資産が本当に "余裕資産" という扱いでよいのかどうか再考の価値があるように思います。リスクを調整する場合は、一部を預金に移しても良いように思います。

 1-1市場平均ポートフォリオ

  世界中の株を時価総額加重平均の考え方で、市場まるごと買います、例えば楽天全世界株式インデックスファンド1本のみを粛々と積み立てます。

 1-2 GDP比分割

  世界中の株を各国のGDP比を参考に買います。国内株式:先進国株式:新興国株式=1:6:3になるように個々のインデックスファンドを買って、GDP比にあわせて、定期的にリバランスします。

 1-3均等配分

 国内株式と先進国株式と新興国株式のどの資産がこれから伸びるかは、わからないので、均等に買ってしまおうという考え方です。ニッセイインデックスパッケージ内外株式というファンドは、すこしだけ信託報酬が高いですが、国内株式:先進国株式:新興国株式の比率を自動リバランスするので、ほったらかしが可能です。



2 株式:債券 = 50% : 50%

 株式と債券は短期的にはどのように動くかわからないという立場にたったときの資産配分です。予測は困難なのだから、均等に買っておこうということです。一般に、株式よりも債券の方がリスクが小さい(値動きが小さい)ので、株式100%に比べて、リスクは小さくなります。また、株価が相対的に上がりすぎた場合は、株式の一部を売却して、債券を買い増すようにリバランスすることで、自然と利益確定されていきます。ここで、もしも株式と債券の間に負の相関がある場合は、このポートフォリオのリスクは大きく減少すると考えれます。しかしながら、たとえ正の相関があったとしても、相関係数が1でない限り、リスクの軽減効果は認められます。したがって、この先どうなるかは「わからない」に立脚するこのポートフォリオでは、株式と債券の相関が負であろうと、正であろうと粛々と積み立てることになります。

2-1 具体的なポートフォリオ

 このような戦略をとる人にはバランスファンドが向いています。特に株式と債券を1:1で買い付ける世界経済インデックスファンドや、株式や債券だけでなく、不動産もいれて、1:1で買い付けるemaxis slim バランス8資産均等を粛々と積み立てます。


3 株式:債券 = 1 : 4

  株式と債券は短期的にはどのように動くかわからないから、両方買っておこうという戦略は「2」の場合と同じです。しかし「3」の立場をとる人は、次のように考えます。株式は年間±20%ほど上下するのに対して、債券は年間±5%ほどしか上下しない。「2」のようなポートフォリオではポートフォリオの評価額がほぼ株式で決定されてしまいます。したがって、株式に対して債券を4倍もつことで、リスクを調整します。このような考え方に立ったとしても、結局粛々と積み立てるだけなので、株式と債券の相関が正であろうと負であろうと考え方は変わりません。

私の考え方

 私は現在、基本的に「2」のような均等配分が気に入っており、8資産均等をメインに積み立てています。それは、今後どの資産が伸びていくかわからないという立場に強く共感するからです。そのくせに、つみたてNISA口座では株式100%で、楽天全世界株式を積み立てています。投資元本800万円は、全投資額に対して、ほんのすこしになる見込みだからです。
 リスク許容度に基づく投資というのが、実はピンときません。そもそも生活防衛資金を確保してはじめるのが投資ではないでしょうか。余裕資金で投資している以上、資産形成期において、リスク許容度は関係ないはずです。どうせ今使わないお金なのですから。それよりもむしろ、長期的には伸びる投資先に投資しているんだという認識のほうが大切なように思います。また投資戦略を語る上で重要なのは、リスク許容度よりも元本割れリスクであったり、投資効率であったり、哲学的立場だったりするように思います。
 
 さて、リスク許容度が本当に問題になってくるのは、リタイアしてからの取り崩し期です。退職金や年金、保険や定期預金でなんとかなりそうな人は特にリスク許容度は特に気にすることなく、上記の戦略のいずれかをつらぬきます。しかし、仕事による定期収入が途絶えたとき、積み立て投資で得た資産はすでに余裕資金ではなくなっている可能性があります。大きく資産が減っては困る・・・という人は、リタイアまでにポートフォリオのリスクを下げていく必要がありそうです。
 資産形成期の現在(32歳)、私は基本的に投資は余裕資金で行いますが、8資産均等でリスクを取り過ぎていると感じた場合は、国内債券か預金で調整するつもりです。株式比率の下限は、戦略3の理由により20%です。

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