2017年11月12日日曜日

バランス型投資信託と楽ラップ、マネックスアドバイザーの平均リターンと元本割れ確率を試算してみた

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(1)明治安田アセットマネジメント ロボアド シミュレーション
↑のサイトに期待リターンとリスク(標準偏差)を入力すると、平均値と元本割れ確率を試算することができます。

(2)投信工房 無料診断
↑上記のサイトで、国内株、先進国株等の個別のインデックス投資信託に対する、期待リターンとリスクが公開されています。

(3)emaxis 各ファンドの相関係数
↑その名の通り、各ファンドの相関係数が公表されています。

(2)と(3)を利用すれば、目標ポートフォリオに対する平均リスク(合成標準偏差)を計算することができます(*1)。ということは、(1)のサイトを利用することで、統計学的にバランス型投資信託や、楽ラップ等のロボアドを統一的に比較することができると考えられます。あくまでも理論値ですが・・・。

*1 標準偏差の平均は、単純な算術平均になりません。詳細は省略しますが(ググってね)複雑な計算になるので、Excelを使って表計算しました。

さっそくやってみましょう。
ちなみに条件は、初期投資30万円、毎月1万円を30年間積み立てです。
ちなみに、実際の期待リターンから信託報酬を引いて、実質期待リターンになおしてあります。


【1】楽ラップ リスク許容度3/5

特徴:
"資産の半分程度を日本を含む先進国の株式に投資します。資産の保全に配慮するため、主に日本を含む先進国の債券にも投資を行います。その他新興国株式・債券、国内外のREIT も投資対象とします。為替、金利情勢等を勘案しながら、為替リスク、金利リスクの調整を行います。大きく損失を出さないように気をつけつつ、攻めたい方へおすすめです。"
(楽ラップマンスリーレポートより引用)



【2】楽ラップリスク許容度4/5

特徴:
"資産の主要な部分を日本を含む先進国の株式に投資します。資産の保全に配慮するため日本を含む先進国の債券にも投資を行います。その他新興国株式・債券、国内外のREITも投 資対象とします。為替、金利情勢等を勘案しながら、為替リスク、金利リスクの調整を行います。基本的にはリスクをある程度見込んで収益性を追求したい方へおすすめです。"
(楽ラップマンスリーレポートより引用)



【3】マネックスアドバイザー(先進国株式ヘッジなし型)

特徴:私の見通し
日本国内や海外の株価はどうなると思いますか?
債券価格は上昇する(金利の低下など)と思いますか?
日本円は他の通貨と比べてどうなると思いますか?
日本に積極的に投資をしたいですか?
米国、EUなどの先進国に積極的に投資をしたいですか?
中国、韓国、台湾などの新興国に積極的に投資をしたいですか?
日本や海外の不動産価格はどうなると思いますか?

【4】三井住友TAM 世界経済インデックスファンド

特徴:株式50%、債券50%。国内、先進国、新興国の割合はGDPを参考に分割。ゆえに全体に対する国内の割合は10%と低い。世界の成長率を取り込むことを狙っています。


【5】emaxis slim 8資産均等

特徴:
・信託報酬が0.2268%とバランス型ファンドなのにとても低い。
・株式(国内、先進国、新興国)、債券(国内、先進国、新興国)、不動産投資信託(国内、海外)の8資産に均等に投資。


【6】emaxis 最適化バランス マイストライカー

特徴:リスクを20%に最適化することを狙っており、ほぼ株式(84%)で運用。その他も不動産投資信託を組み込んでおり、債券以外のリスク資産は97%。超積極的。



【7】楽天全世界株式インデックスファンド

特徴:
バンガードトータルワールドストック(VT)ETFをひたすら買い続ける。
このETFは日本を含む全世界株式に分散投資する。究極の分散投資。ゆえに、このファンドは株式100%で、資産配分はVTに準拠します。
信託報酬は驚異の0.2396%。


【考察】

30年後の平均リターンの大きい順に並べてみます。
1 楽天全世界株式インデックスファンド 1264万
2 emaxis 最適化バランス マイストライカー 1062万
3 emaxis slim 8資産均等 909万
4 世界経済インデックス 835万
5 マネックスアドバイザー 808万
6 楽ラップリスク許容度4/5 803万
7 楽ラップ リスク許容度3/5 729万

 リターンを狙うなら、楽天かマイストライカーがよさそう。これは株式比率が高く、信託報酬も比較的低いことが起因しています。投資一任型ロボアド楽ラップが最下位となりました。これは信託報酬が0.99%と高いことが足を引っ張っていると考えられます。しかも楽ラップはドル建て資産の半分を為替ヘッジしているので、上の計算よりもさらにパフォーマンスが落ちる可能性があります。
 
 国内と先進国と新興国への投資割合をGDPで分割した世界経済インデックスよりも、何も考えずに8資産に均等に分配する8資産均等のほうが、期待リターンが高いことは特筆に値します。単純に8資産均等のほうが、債券割合が低い(不動産を含むため)ためかもしれませんが、「資産をどのように分配すればよいか結局のところよくわからない」ということを示唆しているようにも思われます。GDP分割に比べて、日本を過大評価しているうんぬんの指摘は理論計算的には、あまり関係ないのかもしれません。

 次に、単位リスクに対する期待リターンの割合で比べてみます。同じリスクをとるなら、なるべくリターンが高い方がよいので、この値は投資効率を示します。

1 emaxis slim 8資産均等 0.45
2 楽天全世界株式インデックスファンド 0.40
2 世界経済インデックス 0.40
4 マネックスアドバイザー 0.39
5 emaxis 最適化バランス マイストライカー 0.38
6 楽ラップ リスク許容度3/5 0.36
7 楽ラップリスク許容度4/5 0.35

 1位は 8資産均等です。これは8資産分散によってリスクが12.1%と比較的低いにも関わらず期待リターンが5.4%と高いことによります。2位、3位にほぼ株式100%の超積極型ファンドが来たことは意外です。投資効率を第一に考える人は株式の割合をどんどん増やしてもよいでしょう。楽ラップは残念な結果になりました。楽ラップ3/5のリスクは11.8%と最も低いのですが、信託報酬0.99%が足を引っ張っています。

30年後の元本割れ確率が小さい順に並べてみます。
1 emaxis slim 8資産均等 1.5%
2 世界経済インデックス 3.6%
3 マネックスアドバイザー 4.2%
4 楽天全世界株式インデックスファンド5.1%
5 emaxis 最適化バランス マイストライカー 6.4%
5 楽ラップ リスク許容度3/5 6.4%
7 楽ラップリスク許容度4/5 7.3%

 すべて10%以下におさまりました。逆に言うと、90%以上の確率で元本が増えることを理論は示しています。しかしながら、初心者に国際分散投資のポートフォリオを提案し、高い投資効率と分散による安全性を提供する目的で登場した楽ラップは、意外にも元本割れリスクが高いなと感じます。しかしながら楽ラップは、ドル建て資産の半分を為替ヘッジするため、実質円建て資産が2/3、ドル建て資産が1/3となり、円高への防御力が高いという特徴を持ちます。円高を警戒する場合は、楽ラップでの運用もありでしょう。

 最も元本割れリスクを小さくしたいなら、8資産均等一択です。しかしながら、楽天全世界や、マイストライカーは期待リターンが高いにも関わらず、元本割れ確率が意外にも小さいです。これは、超積極運用をしたとしても、30年という長期保有が元本割れリスクを低減するためと考えられます。



おわりに


 もっとも高いリターンを得たいと思ったら、楽天全世界やマイストライカーに投資します。長期保有で元本割れ確率を1桁にできます。もっとも投資効率を上げたい場合は、8資産均等や世界経済インデックスに投資します。合理的にはプラスリターンを出している"今"すぐに楽ラップは解約でしょう。もしもマイナスリターンになろうものなら、基準価額を下げて、V字回復を早めるために、積み立て投資を余儀なくされます。期待リターンも投資効率も低いにも関わらず!しかし、為替ヘッジをポートフォリオに組み込みたい場合は一考の価値がありそうです。

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