2018年7月29日日曜日

効率的市場仮説は"仮説"だが役に立つ

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こんにちは。キュウキュウです。
ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質」を買いました。
これ、帯にある通り「100年分の投資理論」が一気にわかります。具体的には3時間くらいでわかります。しかも、難しい数式は一切出てきません。超おすすめの本です。1944円とまあまあしますが、kindleだと1750円で、またポイントが10%つきます。今日はこれを読んで、とくに印象深かった「効率的市場仮説」について理解したことをまとめようと思います。

効率的市場仮説とランダムウォーク理論

 株価が明日上がるのか下がるのかまるででたらめなように見えます。その観察から、取り出された相場の一側面が、ランダムウォーク理論です。なるほど株価の値上がり(値下り)幅(率)に対してその頻度をプロットしてみると、なるほどおおむね正規分布で近似できるほどに、相場はランダムらしいです。なぜ市場がランダムウォークとなるのかに対して説明を与える仮説が、効率的市場仮説です。効率的市場仮説では、あらゆる情報が瞬時に投資家に伝わり、合理的な投資家の売買により、その情報はすみやかに株価に織り込まれます。それゆえ、"割安"な株も"割高"な株も存在せず、株価が上がるか下がるかは、偶然によります。ここで、効率的市場仮説が成立するならランダムウォークとなるが、ランダムウォークが成立しているからといって、効率的市場仮説が証明されるわけではありません。このことをファイナンス理論全史では、すべての投資家が、サイコロを振って投資する銘柄を決めているような場合を想定し、市場にはなんの情報も織り込まれないが、株価はランダムウォークになると指摘しています。

厳密にはランダムウォーク理論は成立しない

 ファイナンス理論全史から最も衝撃的である表を引用しようと思います。
これは、米国株騰落率上位20日の、日付と、騰落率と、ランダムウォーク理論が予測する正規分布を仮定した場合の、実現が確率です。例えば1987年10月19日の-20.5%が起こる確率は6×10^97年に1度です。その他、天文学的な確率がたくさん並んでいます。これは、超低い確率のことがたまたま起きてしまったのでしょうか(※1)・・・。ファイナンス理論全史では、この結果はむしろ、相場が正規分布で完全に近似できないことを示唆しており、効率的市場仮説も厳密には成立していないとします。細かい議論は本書を読んでいただくとして、結論に移ります。
※1 記事をまとめていて、ふと思ったことがあります。天文学的な確率だから、起こるはずのなかったことが、しかし実際に起こるという事例はもっと身近なところにあります。生命の誕生です。生命の誕生は、バラバラになった時計が勝手に組み上がるのと同じような奇跡と例えられるくらい確率的に起こりにくい事象です。もしかしたら、金融の世界と共通点があるかもしれませんが、今は思考がもやもやしている段階でうまく言葉にできません。

それでも効率的市場仮説は役に立つ

 効率的市場仮説→ランダムウォーク理論により、株式のリスク(ボラティリティ)を標準偏差を用いて定量化し、さらに、将来の株価をX%の確率で、A~Bの範囲に収まるといったように記述できるようになりました。また、リスク許容度を決める際に重要となる、最大損失について、統計学に基づいて見積もることができるようになりました。これにより、暗中模索していた資産形成に少しだけ光が差し込みました。
 効率的市場仮説は厳密には成立していませんが、しかし、市場の値動きの多くを説明することができるので、一介の個人投資家にとっては、やはり"割高"も"割安"もないのかなあと思います。そのような投資対象は、高度なコンピューターアルゴリズムや、高速取引によりすみやかに解消される仕組みがあるようです。そして、割高銘柄や割安銘柄が適正価格に落ち着くとき、市場は効率的となります。市場はもともと効率的なわけではありませんが、投資家の儲けたいという欲望により、株式は熱心に分析されるので、市場は効率的になろうとします。そして、高速取引による市場の効率化は、人間がまばたきしている間に終わるそうです。

追記:アノマリーが気になる、例えばモメンタムとか

 ファイナンス理論全史には、いくつかアノマリーに関する解説があります。アノマリーとは、経験的に知られている法則・・・程度の意味らしいです。しかし私はアノマリーについて、なんとなく「ほんまでっか?」という感想を持っています。アノマリーのひとつにモメンタムがあります。値上がりした株は値上がりしやすく、値下りした株は値下りしやすいというものです。モメンタムを利用した戦略にトレンドフォローがあります。過去の値上がり実績を元に、現在のポジションを決定します。この大変な(面倒な)作業を自動化してくれるファンドがあります。eMAXIS バランス(波乗り型)です。この波乗り型の5年騰落率は+31.79%、対してeMAXIS バランス(8資産均等型)の5年騰落率は+39.94%です。この5年間に限って言えば、波乗り型はうまく波に乗れなかったようです。
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